脱Excel支援を外注する時のチェックポイント

システム開発の外注は、成否の大半が発注する前に決まると言われます。会社の選び方をまとめた記事も多く、実績を見る、保守体制を確かめる、費用の安さだけで選ばない、といったチェックポイントはどこでもほぼ共通しています。ですが脱Excelの外注先を選ぶとき、この一般的なチェックリストだけで足りるのでしょうか。結論から言えば、足りません。脱Excelには、普通のシステム開発にはない固有の見極めがあります。この記事は、共通の選び方を土台として押さえたうえで、脱Excelならではのチェックポイントを重ねて整理します。

脱Excelの外注は「今のExcelを要件に翻訳できる相手」を選ぶ

脱Excelの外注先を選ぶ時に最初に見るべきは、開発の速さでも料金の安さでもありません。今このExcelで何が起きているかを、こちらが説明しきれなくても引き出してくれるかどうかです。ここが、一般のシステム開発と決定的に違います。

普通のシステム開発には、作るものを定めた要件書があります。ところが脱Excelには、その要件書がありません。今動いているExcelそのものが、唯一の要件書だからです。しかもそのExcelには、担当者しか知らない入力ルールや、月末だけ動く例外処理、手作業の分岐が埋め込まれています。つまり発注側ですら、自社の要件を完全には言語化できていません。だから脱Excelの外注で本当に問われるのは、開発会社が「言われたものを作る力」ではなく、「言葉になっていない仕様を、今のExcelから翻訳して要件に起こす力」になります。この一点を最初の判断軸に置くだけで、候補の見え方が変わります。

開発会社選びの共通基準は土台にすぎない

脱Excel固有の話に入る前に、どの外注でも共通して効くチェックポイントを押さえておきたいところです。これらは差別化要因ではありませんが、欠けていると土台が崩れます。ふるいの一段目として使います。

実績と保守体制を確認する

まず、自社と似た業務・規模のシステムを手がけた実績があるか。次に、納品して終わりではなく、稼働後の保守と運用まで面倒を見るか。脱Excelは作った後に現場で回してこそ意味があるため、保守の有無・対応範囲・費用は選定の段階で必ず確認します。開発体制が自社にあるか、下請けに流すだけかも見ておきたいところです。

相見積もりで費用の妥当性を測る

複数社に同じ条件で見積もりを依頼し、金額と内訳を横に並べます。目的は値切りではなく、妥当性の判断です。費用の安さだけで選ぶと、後で必要な工程が追加費用として戻ってきます。安い理由は遠慮なく直接聞いてかまいません。見積もりの読み方そのものは脱Excelのシステム化にかかる費用相場と見積もりの見方で詳しく扱います。

脱Excel外注でこそ効く3つの見極め

ここからが本題です。共通の選び方をクリアした候補が複数残ったとき、脱Excelで差がつくのは次の3つを見極められているかで決まります。いずれも一般の「開発会社の選び方」記事には出てこない、脱Excel固有のチェックポイントです。

今のExcelの暗黙仕様を引き出せるか

一つ目は、要件化の伴走力です。初回の打ち合わせで、こちらが渡した完成イメージをそのまま鵜呑みにする相手より、今のExcelを見せてほしいと言い、誰がいつ何を入力しているか、例外はどこか、と質問を重ねてくる相手を選びます。前者は言われた通りに作り、動いてから「この処理が載っていない」と揉めます。後者は、言語化されていない仕様を発注側から引き出し、要件に翻訳してくれます。今のExcelのファイルを見せた時の反応が、そのまま見極めの材料になります。

全廃ありきでなく活Excelも提案するか

二つ目は、脱Excelを「Excel全廃」と決めつけないかです。入力の速さや柔軟さでExcelに勝てる場面は多く、すべてをシステムに載せ替えるのが常に正解ではありません。入力はExcelのまま残し、データの管理だけをシステムに任せる折衷案を持っているか。ここで「全部システム化しましょう」しか言わない相手は、売りたい規模から逆算している可能性があります。残す業務と手放す業務の線引きを一緒に考えてくれるかを見ます。

現場定着まで見るか

三つ目は、納品後に現場が使い続けられる状態まで面倒を見るかです。脱Excelの失敗で多いのは、システムは完成したのに現場が元のExcelに戻ってしまう形です。操作の教育、運用フローの整備、稼働後の調整まで提案に含まれているか。作って引き渡すまでで終わる相手だと、定着しないリスクを発注側が丸ごと背負うことになります。

「丸投げできる相手」ではなく「伴走できる相手」を選ぶ

外注を検討する動機の多くは、自社に余裕がないから任せたい、という点にあります。ですが脱Excelで「丸投げできる相手」を探すと、かえって失敗しやすいです。前述のとおり、脱Excelの要件は今のExcelと現場の頭の中にしかなく、その情報は発注側からしか出てこないからです。丸投げは、この最も重要な情報を渡さないまま作らせることに等しいものです。

だから選ぶべきは、丸投げを引き受ける相手ではなく、伴走してくれる相手です。見分け方は難しくありません。提案の場で、こちらに宿題を出してくるかを見ます。今のExcelを見せてほしい、この業務は誰が担当か教えてほしい、と発注側の関与を求めてくる相手は、伴走を前提にしています。逆に「あとはお任せください」だけで話が進む相手は、丸投げを受け入れているように見えて、実は手戻りとベンダー依存の入り口にいます。楽に見える丸投げは、脱Excelでは高くつきます。

見積もり・契約と発注前に自社でそろえること

見極めの軸が決まったら、最後に見積もりと契約の読み方、そして発注前の自社準備を押さえます。ここを揃えると、伴走できる相手かどうかがさらに見えやすくなります。

費用項目と契約形態を確認する

見積書では、要件定義・データ移行・現場定着(教育)が費用項目として立っているかを見ます。これらが消えている見積もりは安く見えますが、脱Excelで最も重要な工程を省いているか、発注側に付け替えているだけのことが多いです。契約形態も確認したいところです。仕様を固めきってから作る請負に対し、要件を一緒に詰めながら進める準委任は、伴走型の脱Excelと相性がよいです。どちらを勧めてくるかにも、相手の姿勢が表れます。

発注前に今のExcelを棚卸しする

見積もりの質は、依頼する前に半分決まっています。どのファイルで何をしているか、どこに手作業と例外があるかを、簡単な業務フロー図に起こすだけでいいのです。箱と矢印で足ります。これがあると各社が同じ前提で見積もれ、相手が要件を引き出せるかも判断しやすくなります。優先順位を先に決めておくと、提案のズレも小さくなります。

よくある質問(FAQ)

脱Excelの外注は普通の開発会社に頼めばいいですか

汎用の選び方(実績・保守・費用・相見積)は土台として必要ですが、それだけでは足りません。脱Excelには要件書がなく今のExcelが唯一の要件書のため、その暗黙仕様を引き出して要件に翻訳できる相手か、という固有の見極めが要ります。開発力より要件化の伴走力を先に見ます。

どこまで自社で準備してから相談すべきですか

完全な要件書は要りません。むしろ、今のExcelファイルと、どの業務で誰が使っているかの簡単な整理があれば十分です。良い外注先は、その先の言語化を一緒にやってくれます。準備しすぎるより、現物のExcelを見せられる状態にしておくほうが役に立ちます。

「全部システム化しましょう」と言われたら任せて大丈夫ですか

即断は避けたいところです。入力はExcelに残し管理だけをシステム化する折衷案もあり、全廃が常に最適とは限りません。残す業務と手放す業務の線引きを一緒に考えてくれるか、規模ありきの提案になっていないかを確かめてから判断します。

外注先を選ぶ前に残すExcelと外付けの範囲を決める

同じ脱Excelでも、Excelの改善で足りるのか、既製品が向くのか、作り込むべきなのかは業務のかたちで変わります。外注先を探す前に、残すExcelと外付けにする業務の範囲を決めておくと、各社を同じ前提で比べられます。何を残し何を外付けにするかはExcelを活かして補う進め方で全体像を確認できます。

自社の業務がどの手段から検討すべきかは、3分の無料業務診断で見当がつきます。今のExcelを見せながら見極めのポイントを一緒に確認したいときは、オンライン相談で要件の引き出し方から整理します。

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